第78章 #78 世界で一番愛してる
「お兄ちゃん……嫌だ……離れたくない」
「リリア……」
こうなってしまうのではないかと心配だった。
ようやく自分を失った悲しみを忘れ、リヴァイと幸せになる筈だったのに。
まさかリリアがあんな無茶をするとは思わなかった。
しかし今、リリアに再び出会えて喜んでいる自分がいるのも事実。
仕方ないだろう、生きていれば自分が幸せにする筈だったリリアがここにいるのだから。
エルヴィンはリリアの頭を優しく撫でた。
「リリア、本当は……このままお前を連れて行きたい」
「え……」
「そうしたらまた……俺と一緒になってくれるだろ?本当は…本当は……俺がリリアを幸せにしたかった…」
ボロボロとリリアの目から涙が溢れる。
「リリアを妻にして幸せな家庭を作って…二人で歳を取って生きて行きたかった……俺が!!……俺が…幸せにしてやりたかった…」
「お兄ちゃん……」
「本音を言えば悔しいよ……リヴァイが羨ましくて仕方がない……しかし今、リリアが愛しているのはリヴァイだからね」
もっとも信頼しているリヴァイに頼んで良かったと思う反面、やはり悔しさはある。
このままリリアを連れて行けば再びリリアと一緒になれるだろう。
しかしそれは間違った選択だ。
俺は死んだ。
リリアはリヴァイに任せた、託したんだ。
ならば俺は託した者として
二人の幸せを守ってやらねばならない