第78章 #78 世界で一番愛してる
「リリアもお母さんになるんだろう?」
「何で知ってるの?」
「知ってるさ、俺はお前の目からちゃんと見てるからな」
「ふふ、みんながね、お腹の子がお兄ちゃんの生まれ変わりだって言ってた!リヴァイだけは認めてなかったけど」
あはは、とエルヴィンが笑う。
「リリアとリヴァイの子として生まれ変わったら幸せだろうな」
「私、ちゃんとお母さんになれるかな…」
「大丈夫だ。ハンジとリヴァイも大丈夫と言ったろう?」
さて、とエルヴィンは立ち上がった。
リリアが少し焦る。
まだ、まだエルヴィンと離れたくない。もっと一緒にいたい。
「お兄ちゃん」
「もう時間だ。早くしないと本当に置いていかれる」
「お兄ちゃん!一緒に連れて行って……私、もう死んだんでしょ?だったらお兄ちゃんと一緒に……」
「俺はリリアが死んだなんて言ってないだろう?」
「え?」
そう言えば先程もリリアにこの先どうしたいのかを確認してきた。
何故そんな事を聞いたのだろう。
あんなにも大怪我をし出血も酷いあの状態で生きられる可能性はない。
それなのに何故。
「まだ息はある、大丈夫だ」
「意味が分からないよ、あの状態で生きられない」
「大丈夫、俺が助けるよ。だからリリアはどうしたい?と聞いたんだ」
エルヴィンが手を差し出し、リリアはその手を取ると立ち上がった。
「俺にこの世界がどうなるのかを生きて見せてくれるんだろ?」
「お兄ちゃん……」
それはエルヴィンの墓の前で誓った言葉。
このまま死んではその約束は果たせない。
しかしエルヴィンと離れたくないのも本音だ。まだまだ一緒にいたい。
リリアは勢いよくエルヴィンの体に抱き着いた。