第78章 #78 世界で一番愛してる
「お兄ちゃん……怒ってる?」
「ん?怒るとは?」
「だって……ウォール・マリアから戻ったら……結婚しようねって…」
あぁ、とエルヴィンは笑った。
「そうだな。でもそれは二人が生きて戻ったらの話だったろう?」
「お兄ちゃんがいなくなって寂しくて…リヴァイに逃げた…とか思ってる?」
「まさか、思うわけないだろう?それともお前はそうなのか?寂しくてリヴァイに逃げたのか?」
「違うよっ!!……そりゃあ…最初は弱ってる時に優しくしてくれて…励ましてくれて……逃げ……だったのかもしれない…でも!!今は違うよ!心からリヴァイの事が大好きだよ!!」
リヴァイと一緒にいると楽しい
温かい
幸せを感じる
出来ればもっともっと一緒にいたかった
そうだろう?とエルヴィンは柔らかく笑うと、船の上にいるリヴァイを見た。
「リヴァイは…ずっと前からお前の事が好きだったよ。俺が生きていた頃からいつもリリアを見ていた。まぁ、俺もお前を渡す気はなかったから結構煽ったりしたけどな」
「えぇ?」
「リヴァイは俺が最も信頼している男だ。だから安心してお前を任せられたんだ。他の男だったらこのまま連れて行こうかと思ったが……」
リリアは苦笑いをした。
何気に今、エルヴィンがすごい事を言ったような気がする。
するとエルヴィンがリリアのお腹を優しく撫でた。
「リヴァイは幼い頃から地下街暮らしだった。お前と一緒で家族には恵まれなかったから、リリアと家族になるのを楽しみにしていると思う」
そういえば自分が巨人化する可能性があるから殺して欲しいと言った時に、リヴァイがこう呟いていた。
"やっと欲しかった家族になれると思ったのに"