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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第78章 #78 世界で一番愛してる



「ダメだ。抱きしめることは出来ない」
「え……」

リリアはションボリと寂しそうに下を向く。
しかしリリアはエルヴィンに今までの事を報告しなければと、気持ちを切り替え顔を上げた。

「あのね、お兄ちゃん。お父さんの仮説は合ってたよ。壁の外には人がいて私達は記憶を改ざんされて生きていた。それからね、この島の巨人を全部討伐して海を見たよ!ずーっと遠くまで塩水が続いててね、太陽の光が反射してキラキラ綺麗だったの!!」

うんうん、とエルヴィンは頷きながら話を聞いている。

「でもね、海の向こうの人達は私達が嫌いでね……その事でエレンが色々大変で……今はとんでもない事になっちゃってる」
「『地鳴らし』…だったか」
「うん……今世界が巨人によって踏み潰されてて、たくさんの人が死んでいってる。エレンを早く止めないといけないの」
「それでリリアはここでリタイアしていいのか?」

リリアが一瞬黙る。

「だってもう動けないし、怪我だらけだし……」
「俺はお前はどうしたいのかを聞いているんだ。怪我の事は一先ず置いておいてリリアはどうしたい?」

エルヴィンの言葉に疑問を持ちながらも、リリアは船の方を見た。
まだ戦えるなら、皆と一緒に行きたい。
エレンを止めたい。

「……一緒に行きたい」
「そうか。それに…お前がいないとリヴァイが動かないかもしれないしな」

リリアは目を丸くした。
確かにここ数年のリヴァイはまるでかつての自分のようだ。
エルヴィンがいなければ生きていても仕方がない、そう思っていたあの時の自分のよう。
リリアが心配すぎて任務を疎かにする時もあった。

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