第77章 #77 私は強い
あぁ…
俺はいつもこうだ
守りたい人を自分の手で守ることが出来ない
『リヴァイの兄貴!!』
『リヴァイ』
イザベル……ファーラン
『リヴァイ兵長!!』
エルド…グンタ……オルオ…ペトラ……
『リヴァイ』
リリア……
お前だけは…お前だけは絶対に守り抜くと…
誓ったのに……
「クソがあぁぁぁぁ!!」
「リヴァイ!!」
リヴァイはハンジを振り切り、立ち上がった。
リリアの元に駆け寄ろうとしたが直ぐにハンジに押さえられる。
「離せっ!!リリア!!!」
「リヴァイ!!諦めろ!!無理だ!!」
「まだ…!まだ生きてる!!」
「無理だ!!!オニャンコポン!早く出せ!!」
「頼むハンジ!!リリアを連れて行く!」
「もう無理だ!!無理なんだよ!!分かるだろ?アレじゃ…すぐ死んでしまう…」
それでもリヴァイは力を緩めない。
どうしてもリリアの元へ向かいたい。
「頼むっ!!俺からリリアを奪うな!!」
「リヴァイ!!」
「側にいてやらねぇと!アイツがまた泣くだろうが!!俺が!!守ってやらねぇと!!」
「リヴァイ!!!」
「また俺が泣かせちまうだろうが!!!」
「リヴァイ!!!!!!」
ハンジが力一杯リヴァイを抱きしめ止める。
体全体で息をしながら、ようやくリヴァイの動きが止まった。
「リリアのおかげで皆船に乗れる…リリアのおかげだ」
「……」
「私だってツライよ……でもここで出港が失敗したら今までのリリアの行動が全て無駄になる。彼女のためにも…行くんだ」
はは、とリヴァイが渇いた笑いをこぼした。
「ほら見ろ……自分勝手が過ぎるから…こうなるだろうが……馬鹿……でも全部俺のせいだ…俺が………」
「リヴァイ…行こう」
と、その時だ。
ハンジの隙をついたリヴァイがリリアに向かって走り出した。
本来なら動けないような足で、ただただリリアの元へ行きたい、その思いがリヴァイの足を動かした。