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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第76章 #76 証明するために



そしてリリアはリヴァイやピークの元から離れ、一人港に向かって走っていってしまった。
ガビとファルコが追いかけようとしたがやめなさい、とピークが止める。

『絶対に止めると思ったけど、意外に行かせたわね』
「………」
『いいの?今安静にしておかないと、お腹の中の子供がどうなるか。それよりもあの子が死ぬ可能性が高いわよ?体調は万全じゃないだろうし』

ピークにそう言われ、リヴァイは髪の毛をクシャと握り大きくため息をついた。

「リリアが血反吐を吐く程にツライ訓練を付けたのはこの俺だ。あいつがどれだけ努力したのか誰よりも俺が知っている」

皆がリヴァイを見た。

「俺は……当時のリリア事をあまり良く思っていなかった。辞めさせる事ばかり考えて必要以上に厳しくした。殴る、蹴るは当たり前、酷く罵倒もした」

ええ、とガビとファルコが信じられないような表情を見せた。
今こんなにも仲が良く見えるのにそんな過去があった事が信じられない。

「裏で泣いているのも知っていた。でもアイツは全然諦めてくれなかった…」

毎日毎日、俺のところに来てはよろしくお願いしますと教えを乞うた。
その度に苛立ったのを覚えている。
しつこい、いい加減にしてくれ、俺に近寄るな、今では考えられない感情が溢れていた。

だから日に日に厳しくなる…。

「でも……アイツは…頑張った。本当に……リリアの悔しいという気持ちも分かる…だから強く止められなかった…」
『ふぅん、今執拗にあの子に優しいのは懺悔の気持ちもある訳?』
「……かもな。もう俺のせいで泣かせたくねぇんだよ。俺が苦しめた分、俺の手で幸せにしてやりてぇ」

するとガビがリヴァイの前に膝を着き、ギュウと手を握った。

「なら止めに行こうよ!ここでリリアさんが死んじゃうのは嫌だ!!仲良くしようって言ったの!赤ちゃんにも会いたい!!ねぇ!リヴァイ兵長!!行こうよ!止めてよ!!」
『ガビ、止められなかったから今ここにリリアがいないんでしょう?』

ピークはチラリとイェレナを見た。
イェレナは頭を下げたまま、静かにしている。

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