第9章 #09 女型の巨人捕獲
「兵長!!!!」
「奴をここで仕止める!そのためにこの森に入った!そうなんでしょう?!兵長!!」
「兵長!指示を!!」
するとリヴァイが振り向き、ようやく口を開いた。
「全員、耳を塞げ」
そして取り出し撃ち上げたのは音響弾だった。
キィィィンという耳を突き刺すような音が響き、その音に若干女型の速度が落ちた。
「音響弾?!」
と、その時だった。
リヴァイ達の前に脇道から馬が飛び出し、前方を走り始めた。
皆が目を見開く。
そう、リリアだった。
「リリア兵長?!どうして?!」
音響弾は女型の速度を遅らせるのと、それと同時にリリアへの合図でもあった。
リリアはリヴァイとの距離を測りながら馬を飛ばす。
進め、とにかく進め。
エルヴィンの待機している所まで彼らを連れて行く。
しかしエレンがこのまま大人しく着いてきてくれるだろうか。
事前にリヴァイと話していたのはエレンが巨人と戦う可能性もあるという事。
ただそうなると今回の捕獲計画が上手くいかなくなる。
そしてリヴァイはリリアにこうも言っていた。
"アイツの選択に任せる"
「お前らの仕事はなんだ。その時々の感情に身を任せるだけか。そうじゃなかった筈だ。この班の使命はそこのクソガキに傷一つ付けないよう尽くす事だ。命の限り…」
エレンが眉をひそめる。
リヴァイ班がエレンに付いたのは自分を監視するためだと思っていたからだ。
リヴァイのその言葉に、エルド、グンタ、オルオ、ペトラが自分達がするべき事を今一度再確認した。
そう、ただ馬で駆ける、このまま逃げ切る。