第75章 #75 港へ
一行は港が見渡せる小高い場所へ移動した。
ハンジ、マガト、リリアが身を潜めながら港を見ると、ピークの言う通り港は既に兵士によって占拠されており、飛行艇に近付く事も容易でなさそうだ。
「まさかフロックがここまで俊敏に動くなんて…」
「我々はイェーガー派に飛行艇を壊されたらお終いなのだが…奴らはなぜ飛行艇を破壊しない?」
「さぁねぇ…おそらくはエレンを止めようとする私達の存在に確証が持てないんだろう」
船を壊すのは簡単だが、世界が滅べば失われた技術の再現に何十年とかかる。
無人の大陸が欲しいのなら飛行艇は尚更惜しいはず。港を占拠した一番の目的も船や技術者を持つアズマビトを押さえる事だったのかもしれない、とハンジは言う。
「だけど…そんな彼らもここに私達がいると分かれば…即座に飛行艇を粉々にするだろう。その阻止は『九つの巨人』の力があっても……困難だ」
「だがここでつまずくようでは到底始祖には敵うまい。作戦を…」
マガトは皆の元へ行こうとしたが、ハンジは何かに気付き身を乗り出した。
「どうした?オイ、身を屈めろ」
「…あれは」
遠くに見える蒸気を上げながら移動する巨人が見える。
この速度は思っていたよりも早いものだ。
リリアはハンジを見上げた。
「ハンジ、予想外に早いよ。あれじゃあ……マーレ大陸には上陸しているかもしれない」
「あぁ……クソ…時間がないな」
後方を見ると何やらライナーやアニ、アルミンやコニー達が言い合っているのが見えた。