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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第75章 #75 港へ



暫くするとリヴァイの元にハンジが戻ってきた。
どうやら他の者が見張りを交代してくれたらしい。
リヴァイの隣に座ったハンジは彼の膝の上で眠るリリアの姿に微笑んだ。

「よく寝てる。きっとリヴァイが近くにいるから安心してるんだね」
「……だといいがな」
「どういう意味?」

少し沈黙した後、リヴァイは先程リリアに言われた事をハンジに言った。
兵士長になった時に嫌な気分になったかと聞かれた事を。
それを聞いたハンジは困った様に項垂れ、リヴァイが寝ている間にあった事を話した。

「名ばかりの兵士長……」
「仕方ないと言えば仕方ないけどさ、リリアの努力を知ってる者がもう数少ないからね。だからと言ってあまりに酷いだろ?私、我慢ならなかったよ」

リヴァイは返事をしないままリリアの頭を優しく撫でた。
しないのではない、出来ない。
リリアに過酷な努力をさせたのは自分だからだ。
それを理解したのかハンジもそこからは何も喋らず黙っていた。


「リリアの髪が戻らねぇのは」
「うお、ビックリした!突然喋り出すから!なんて?」
「リリアの髪の色が戻らねぇのは俺のせいか?」
「へ?」

リリアはエルヴィンが死んでから髪の色が抜けてしまった。
相当なストレスがあったからだ。
しかしあれから何年経過しただろう、彼女の髪の色が元に戻る気配はない。
リヴァイなりに寂しい思いはさせないよう頑張ってきたつもりだ。
リリア自身も幸せそうに見えてたと思うが心の中で何か払拭できない何かを隠しているのだろう。
リヴァイはその原因は自分だと感じたらしい。

「ずっと苦しめているのは俺なのかもしれねぇな」
「そんな事ないと思うけど……それならリヴァイと一緒にいたりしないだろ」
「本当にそう思うか?」
「リリアは好き嫌いがハッキリしてる子だから。リヴァイの事をよく思っていないなら君の想いに答えたりしないし、今もこうして膝枕してなんて言わないよ」

気にしすぎ、とハンジはリヴァイの肩をポンっと叩いた。
リリアを今不安にさせている原因の源を作ったのは自分だ。
リリアは無意識にリヴァイに対して何か不満を持っているのではないだろうか。
ハンジの言う通り気にしすぎなだけなのだろうか。


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