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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第75章 #75 港へ



「……?何だ?」
「痛いよね…いや、絶対痛いよね…」
「だから何がだ」
「……ひざ枕…」
「…………」

するとリヴァイがポンポンと自分の太ももを叩く。

「痛くねぇ、寝ろ」

リリアの目が輝いた。凄く嬉しいらしい。

「へへへ!お邪魔します!あ、でも痛かったら言ってね」

ゆっくりとリリアがリヴァイの太ももに頭を乗せて寝転がると、ジッとリヴァイを見上げニコッと笑い目を閉じた。

「おやすみなさい」
「あぁ」

ズキンズキンとリリアを乗せた太ももが痛む。
しかしリヴァイにはこの程度の痛みは全く苦ではなく、むしろ嬉しい。
優しく頭を撫でるとサラサラっとリリアの髪が落ちる。
まとめていた髪は今までの戦闘で解けたままだ。まとめてやりたいが、リヴァイは指が欠損し今までのように簡単に結ってあげられない。
するとリリアがゆっくり目を開けリヴァイを見た。

「悪い……邪魔した」
「ねぇリヴァイ。リヴァイはさ、私がリヴァイと同じ階級になった時、嫌な気分した?」
「は?しねぇよ」
「何で?リヴァイよりも弱いのに……何で同じって思った事ないの?」
「ねぇよ。俺はお前が弱いなんて思った事はない。だから巨大樹の森でも巨人をお前に任せただろうが。俺はお前に背中を預けたんだ、弱いと思ってたら頼むわけねぇだろ」

ふーん、とリリアが口を尖らせた。
リヴァイは意味が分からず首を傾げながらリリアの頭を撫でる。

「何かあったか?」
「別に、何もない」
「………はぁ…リリア、何があった」
「……ぐぅぐぅ」
「おい」

寝たフリをした後、リリアは再びリヴァイを見上げた。

「……悔しい」
「何がだ?」
「………」

その問いには答えなかった。
リリアは目を閉じるとそのまま眠り、リヴァイも聞く事は諦め、そのまま優しく頭を撫でながら時間が過ぎるのを待った。

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