第75章 #75 港へ
皆は食事を終え、焚き火から離れ周りで静かに過ごしていた。
リリアは起きたリヴァイの側で彼の包帯を外し、食事を勧めた。
「はい、口開けて」
「……自分で食える」
「いいじゃない。私が弱ってた時はよくリヴァイが食べさせてくれたでしょ?」
「俺とお前は違うだろうが…」
「いいから!!はい、あーん!」
リヴァイは頑なに口を開けない。
何故ならすごく近くでニヤニヤしながらハンジが見ているからだ。
「……メガネ…」
「むふふ!気にしないでイチャイチャしながら食べてよ!私が作ったシチューをね!!!さぁ、さぁ!!」
「ハンジ、リヴァイ食べづらいって。ちょーっと離れて」
えー、とハンジは渋々リヴァイから少しだけ離れた。
はい、とリリアが再びリヴァイの口元にスプーンを近付けると、今度は素直にシチューを口に運んだ。
「美味しいでしょ?ハンジの作ったシチュー」
「……お前はちゃんと食ったか?」
「食べたよ!」
そうか、とリヴァイは少しだけ微笑んだ。
暫くして食事を終えるとハンジが立ち上がり手を上げて体を伸ばした。
「ふぅ、じゃあ私は見張りに行くから。ゆっくり休んでね」
「ハンジ、後で交代するよ」
「大丈夫!リリアはゆっくり寝てて」
じゃあね、とハンジは手を振って2人の側から離れた。
周りの者達も眠りにつき始め、パチパチという焚き火の音だけが耳に入る。
リリアはジッとリヴァイの足元を見つめた。