第74章 #74 友の言葉
「馬を休めても港まで最速で5時間掛かる。頼りはアズマビト家だ。キヨミさん曰く、地鳴らしの視察用に飛行艇を港に用意してあるらしい。それを使えばあの始祖の巨人に近付ける」
「やはり…アズマビトが裏で手を回していたのか…」
マガトは納得した。
レベリオから始まった今回の件は到底パラディ島の力だけでは出来ないものだ。
誰かが手を回しているとは思っていたらしい。
そしてハンジは飛行船を手に入れるために次に向かうべきは港だと言う。
「問題は始祖の巨人がどこにいるかだ。闇雲に飛んでもすぐに燃料は尽きる」
「そうだ、始祖の進路を探らねばならん。少しでも手掛かりがいる。だからこいつを攫った。イェーガーがまず向かう先はどこだ?」
マガトが黙り込んでいるイェレナにエレンの居場所を聞くと、イェレナは感情の読み取れない表情をし、そして口を開いた。
「…知るわけない。知ってたとしてなぜ私が答える必要が?」
「大陸のことを何も知らないイェーガーに知恵を貸したのはお前だ。イェーガーは前もって地鳴らしの進路を想定している。何らかの予想はできるはずだ」
「クソ野郎」
イェレナが鋭い眼差しで睨みつけてきた。
「は?」
「なぜ私がマーレ人のクソ野郎に協力する必要があるのかと聞いている」
「あんた達の命をこっちが握っているからでしょ」
「無駄だ。死にたがっている」
アニの言葉をジャンが否定した。
イェレナは先程、イェーガー派の者達に処刑されようとしていたところをピークに連れてこられたのだ。
その際にもう生きる気力はなかった。
「でも自分の故郷のためにマーレと戦ってたんだろ?故郷がこのまま踏み潰されてもいいのかよ?」
「構わないだろう。なぜならこいつも同じクソ野郎のマーレ人だからだ」
マガトの言葉に皆がイェレナを見た
するとピークがイェレナの後ろに近付き、ゆっくりとイェレナに話しかける。