第72章 #72 世界を救いに
空はだんだんと夕陽でオレンジ色に染まってきていた。
いつジャンからの合図があるか分からない。
皆はつねに気を張り、合図を待った。
その時だ、遠くから銃声が4発、続けて聞こえてきた。
合図だ。
「聞こえたか?」
「銃声が続けて4発…ジャンからの作戦続行の合図」
「武器も食料ももう十分積んだろ」
「今なら砦の反対側に注意が行ってるはずだ、行こう!!」
荷馬車に乗り込み、出発しようとした時だ。
アニが誰かの視線に反応した。
見渡すと建物の上から誰かがこちらを見ている。
しかし誰かは影になっていて分からない。
「誰かがこっちを見ている」
「どうするのアルミン?!」
ミカサがアルミンに問う。
誰かに見られたとなればイェーガー派にバレてしまう可能性がある。
しかしもう時間がない、アルミンは声を上げた。
「進むしかない!!急ぐんだミカサ!!」
リリアがこちらを見ていた人物がいる建物を見上げた。
やはりまだこちらをじっと見ている。
すると小さくリリアが頭を下げ、その行動にアニが眉をひそめた。
「リリア兵長、アンタ今の誰か分かったの?」
「………さぁね」