第72章 #72 世界を救いに
ガビに案内され、リリア達はライナーがいる空き家へと向かった。
部屋に入るとまだライナーは眠っており、それを見たアニがライナーを蹴り上げた。
「起きな」
突然の事にライナーが驚き飛び起きた。
目の前にはいるはずのないアニの姿、一体何が起こっているのか頭が回らない。
「なっ!?アニ…!?」
「落ち着いてライナー!!」
「安心してください、みんな味方です」
ガビとファルコがライナーを支える。
ライナーの視界に入ったのは今まで敵として戦っていたアルミン、ミカサ、コニー、そしてリリアだ。
ライナーはリリアからの冷たい視線に一瞬怯んだ。
「リリア兵長…」
「久しぶり、ライナー・ブラウン。4年前はどうも」
「い、生きていたんですね」
ガビはライナーの怯みぶりに首を傾げる。
何故リリアにこんなに怯えているのだろうか。
「ライナー?リリアさん怖い人じゃないよ?」
「あれだガビ、ライナーには怖い対象なんだよな」
コニーが笑いながら答えるが、ガビには意味が分からない。
するとアルミンが続けた。
「ライナーはあまり兵長と関わりがないままだったからね。僕達がリリア兵長と親しくなり始めたのはライナー達がいなくなった後くらいだったから。以前のリリア兵長は冷たい人ってイメージだったからライナーやアニにはそのイメージしかないんだよ」
「リリアさんが冷たい?」
「コニーも怖がってたもんね?目が怖いって」
「ば、馬鹿!言うなよ!!」
ガビがリリアを見る。
今のリリアに冷たいイメージは微塵もない。むしろほんわかしていて温かいイメージだ。
しかし確かに今ライナーを見ている彼女の目は少しだけ鋭い。
「あなた達がした事を今は責めたいしない。もう…色々私達も知ってしまったからね」
「……はい」
「とにかく……ライナー無事で良かった」
リリアが柔らかく微笑むとライナーが目を見開き呟いた。
「………天使……」
「オイコラ!ライナー!お前ホント惚れやすいの変わらねぇな。リリア兵長に手出したらリヴァイ兵長にぶっ殺されるぞ!!ってそんな事より!!時間がねぇ、早く行くぞ!」
「……どこに」
「世界を救いに」