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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第72章 #72 世界を救いに



「とにかくライナーの元に急がないと…」
「2、3日は昏睡状態だから安心して」

ガビはライナーを空き家に置いてきているらしい。
戦闘のダメージがかなりあったようだ。

「こんな寄り道してていいんですか?」
「まずは腹ごしらえだ」

コニーはファルコを空いている席に座らせると前に食事を置いた。
アルミンとガビも席に座り食事を始める。
リリアはそんな4人を見守りながら辺りを警戒した。
ここにはあまり兵士の姿はない。

「しかし本当なのかアルミン、アニが復活したかもって…」
「うん…全ての硬質化が解かれたのならその可能性は……」

「ブフォ!」

いきなり隣にいた人物が食べていたパイを噴き出した。
驚きアルミンとコニー、リリアがその人物を見るとなんとパイを食べていたのはたった今話題に出していたアニだった。

「あ!?アニ!?」
「え…!??」

アニは目を見開いたまま、口に入れていたパイをゴクリと飲み込んだ。
それを見たコニーが笑い出す。

「だははははは!!!アニが!!パイを貪り食ってやがる!!」
「やめなよコニー!!」
「汚ったねぇ食い方!!」
「4年ぶりのパイなんだよ!!」

リリアは真っ直ぐにアニを見つめた。
硬質化してから4年、本当にアルミンの言った通りアニは復活していた。
蘇る過去の記憶、エルド、グンタ、オルオ、ペトラ、リヴァイ班が無惨にも殺されたあの光景は今でも忘れられない。
しかし真実を知った今、リリアにはアニを責める事は出来なかった。

「アニ・レオンハート」
「あ、リリア兵長!!待ってください!アニは…!

アニの事を酷く恨んでいた事を知っているアルミンは慌ててリリアを止めようとした。
しかしリリアは分かっている、とアルミンに手を向ける。

「これから行く所がないのであれば私達と一緒に行かない?」
「は?」

アニが眉をひそめてリリアを見た。
彼女も勿論リリアが自分に対してどんな感情を持っていたのか結晶の中で分かっていた筈だ。

「あなたにも、守りたいものがあるでしょう?」
「………」
「このままだと、全部なくなる」
「………分かった」


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