第70章 #70 フロック・フォルスター
「それじゃあ私はこれで。ガビ、気を付けて行ってらっしゃい」
「うん!」
「リリア、大丈夫か?」
ニコロが心配そうに声を掛けた。
彼はいつもリリアが落ち込んだ時に彼なりのやり方で励ましてくれた。
ナイルの事も本当は市民を守るため調査兵団であるリリアが一番に倒さねばならないのに、気持ちを汲んで倒せなかった事を責めたりしなかった。
ニコロはとても優しい。やはりサシャとは幸せになってほしかった。
こんな戦争さえなければ……
レベリオでエレンを止められなかった自分が非常に腹立たしい。
しかしエレンの行動はこの島を守るためのもの。イェーガー派が生まれたように彼の行動に賛成する者もいるのだ。
何が正しいのか
やはり分からない…
「ありがとう、大丈夫」
そう言うとリリアは部屋から出て仮眠室へと向かおうとした。
身体の怠さが全く抜けない、休んでも変わらないかもしれないが連戦で流石にフラフラだ。
その時だ、パンっという銃声が聞こえ何やら騒がしい。
リリアが慌ててその場に向かうと島にいた義勇兵が集められ、その中の一人がフロックによって手の平を撃たれていた。