第8章 #08 楽しき日
「リリア?眠たくなってきたのか?」
「んう……お兄ちゃん…」
「ん?」
「今日ね……リヴァイ班のみんな…と……お買い物……って……晩ご飯……楽し……」
もう言葉になっていない。
リヴァイ班の皆と買い物に行き、晩ご飯を作って楽しかったと伝えたいのだろう。
「戻ってきたらまた行きなさい」
「うん……」
リリアから完全に意識がなくなった。
全体重をエルヴィンに乗せ、気持ち良さそうに寝息を立てている。
(ベッドに運んでやりたいが動くと起こしそうだな)
リリアの頭を撫でながら自分も目を閉じ、体に伝わるリリアの体温を感じた。
(そう…いつも思い出すのはこの子の事ばかりだった…リリア1人を置いて訓練兵に入り、あまり家に戻れないまま調査兵団になった。どれだけ寂しい思いをさせてしまっただろう)
リリアが調査兵団に入り自分の補佐に着くようになってからは、今まで側にいてあげられなかった分、2人きりの時は目一杯リリアの甘えを受け入れてきた。
きっとそれは間違っているのかもしれない、自分に依存しすぎて離れる事が出来なくなるかもしれない。
でもそれでもいいと思った。
心のどこかで、自分はリリアを妹としてではなく1人の女性として見ているのではないか。
最近特にそう感じる時がある。
だが俺達は兄妹だ。
そんな感情は持ってはいけない。
エルヴィンは大きく息を吐くと、そのままゆっくり眠りについていった。