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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第8章 #08 楽しき日



「でももしお兄ちゃんに大切な人が出来たら、私は身を引かないといけないんだよね。ヤダなぁ、寂しい。お兄ちゃんいないの?そんな人」
「リリア、調査兵団に入ってからずっと俺の側にいるのに、今までにそんな人がいるような感じがあったか?」
「ないけど…お兄ちゃんは隠すの上手いから」
「いないよ、というか作らないと決めている。調査兵団に入ったら死との隣り合わせだからな」

ふぅん、とリリアはエルヴィンを見上げた。

「じゃあ兵団に入る前はいたんだ?家から出て私から解放されてその時はいたんだ?」
「……嫌な言い方だな……解放されたなんて微塵も思った事ないぞ」

回答は?とリリアがジッと見つめてくる。
エルヴィンは困ったように視線を逸らした。


「まぁ……長くは続かなかったけどな」
「やっぱりいたんだー。だよね…」

唇を尖らせながらリリアがエルヴィンの胸に顔を埋める。

「思い出すのはいつもお前の顔ばかりで、腹を空かせていないか、病気をしていないか、泣いていないか心配ばかり」
「私のせいで続かなかったの?」
「そうだな、リリアのせいだな」

ふふふ、とリリアが笑う。
だんだんと眠気が来たのか、体から力が抜けエルヴィンの体にリリアの体重が乗ってきた。

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