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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第69章 #69 もう一人のお兄ちゃん



「兵長、どうやって巨人を倒したんですか?」
「え…」
「巨大樹の森ではまだリヴァイ兵長がいたから倒せたのは分かります。でも今しがた兵長はどうやって巨人を倒しましたか?」
「………」

ミカサとジャンが顔を見合わせる。

「左腕、ありますよね」
「はぁ?!」

ジャンが声を上げマントに隠された左腕を見た。
リリアは大きく息を吐くと隠していた左腕を出した。

「嘘だろ……どういう事だよ?!」
「……脊髄液を私も口にしたからね。巨人化しようとしたの」
「は?でもリリア兵長はこうして今…」
「無くなった左腕再生した後に巨人化が止まった。だからある」

意味がわからずジャンは視線だけをアルミンに向けた。
暫く考えたアルミンはリリアを見つめる。

「…兵長、理由は分かりますか?」
「………」
「多分ですけど兵長は……」
「やめて!!口に出さないで!お願い……」

アルミンは言葉を飲んだ。
本当にリリアがつらそうな顔をしていたからだ。
彼女は分かっている、自分が巨人化しなかった理由を。


「とにかく砦に戻りましょう。ミカサ、ジャン、リリア兵長の左腕の事は知らないフリをしておいて」
「え?」
「イェーガー派の連中はリリア兵長が手負いだから見逃してる所もある。左腕が戻っている事を知られたらマズイ」
「分かった」
「兵長、少しでも身体休めて下さい。無理しないで」
「……大丈夫、動いていないと不安なの」

そう言うとリリアは先に砦の方へと向かっていった。
残された三人、ミカサとジャンはアルミンとリリアのやり取りの意味が分からず首を傾げていた。

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