第69章 #69 もう一人のお兄ちゃん
リリアは砦に向かって移動し始めた。
キースも後方に続き訓練兵達を誘導するが少しずつリリアとの距離が開いていく。
あまりにも自分達に比べリリアが早過ぎる、しかし彼女に着いて行かなければ巨人に追い付かれてしまう。
訓練兵達は必死にリリアの後を追った。
大量の巨人を引き連れ砦の近くまで移動したリリアは後ろを向いて声を上げた。
「壁ギリギリを上方へ!!ぶつからないように!!!」
「はい!!!」
砦の壁ギリギリを上がり、勢いの付いた巨人達はどんどんと壁に激突していく。
訓練兵達は息を切らせ下方に群がる巨人達を見つめ体を震わせた。
「お疲れ様!あとは任せて訓練兵は砦の中へ!!怪我人の治療をお願い!!」
「リリア兵長……分かりました!!お、お気を付けて!!」
そう言われリリアは目を丸くし驚いた。
訓練兵から良く見られていない事を知っているリリア、まさか気を使ってくれるとは思わなかった。
リリアはニコリと笑うと手を上げて巨人達の群がる下方へ降りていった。
何とかやり遂げた訓練兵達はその場に座り込み大きく息を吐く。
「リリア兵長凄すぎだろ……そりゃあそうだよな…兵士長だもんな。ここまで生き残った人だ」
「誰だよ……肩書きだけの兵士長とか言ってた奴…あの早さバケモンだぞ……て事はリヴァイ兵長はもっと……調査兵団の兵士長とんでもねぇよ…」
砦に集められた巨人をリリアやキースが倒していく。
すると最上階で雷槍の準備をしていたアルミンがリリアの姿に気が付いた。
「あれは……リリア兵長?!」
「え?」
「マジか?!」
ミカサとジャンも驚き下を見た。
確かにリリアが巨人を倒している。しかし何故ここにリリアがいるのか分からない。リヴァイと共に行動していた筈なのに。
しかし今は巨人を倒す事が先決だ。
「話は後で聞いてみよう。とにかく今は巨人を!!」
「あぁ!!」