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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第8章 #08 楽しき日



部屋に入るとエルヴィンはリリアに座っていなさいと言い、身体が温まる飲み物を準備し始めた。
ソファに腰掛け、その後ろ姿をリリアが見つめる。

「調査兵団の団長に飲み物作らせてるのってとんでもなくない?私がやるよ?」
「ん?今はただのリリアの兄だよ。いいから待っていなさい」


暫くするとエルヴィンはリリアにホットミルクを手渡した。
ありがとう、と受け取ると、ふぅと冷ましながらカップに口を付ける。
エルヴィンは微笑みながら自分もリリアの隣に座った。


「余計なプレッシャーを与えてしまった事は申し訳ないと思っている。しかし俺はお前だから頼んだ。お前にしか出来ないと思ったからだ」
「うん」
「俺はリリアを信じている、大丈夫、出来るさ」

エルヴィンはリリアの頭に手を添えると、ゆっくり自分の方へ引き寄せ、そしてゆっくりポンポンと頭を叩いた。
するとリリアは持っていたカップを机に置き手を伸ばしてエルヴィンに抱き着いた。

甘えるようにエルヴィンの胸に擦り寄るリリア、苦笑いをしながらエルヴィンはリリアを抱き返す。

「リリアももう大人になったんだから、そろそろ俺に甘えるのやめないと。視野を広げないと素敵な人が見つからないぞ?」
「そんな人いらないもん。私はお兄ちゃんがいればいい」

エルヴィンはリリアの体を少しだけ持ち上げると自分が下になるようにソファに横になり、リリアの頭をゆっくり撫でた。

甘えるのをやめなさいと言っているのに、自分もつい甘やかしてしまうために少しばかり情けなさを感じた。


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