第68章 #68 理由
「リリア……リリアは……どこだ」
「リリアは私達を逃すためにあの場に残ったよ。無事なのかどうか…まだ分からない…」
「生きて…いたんだな?なら大丈夫だろう……おそらく…殺されてはいねぇ…」
何故そのような事が分かるのだろうか、ハンジは首を傾げた。
リリアはエレンから彼が本当は何をしようとしているのかを教えられている。
ある意味イェーガー派の弱みを掴んでいるという事だ。
ジークに伝えると言えばエレンの計画がバレてしまい、地鳴らしをする事が出来なくなってしまう。
今思えば、もしかしたらエレンはこうなる事を分かっていてリリアに教えていたのかもしれない。
「それにしても良かった。リリアはワインを飲まなかったんだね」
「いや……少し飲んだ。だが…巨人化が途中で止まった……アイツの左腕が戻っているのを…見なかったか?」
「え……えぇぇえ?!巨人化が止まった?!そんな事あり得るの?!」
「それを……テメェに聞きたかったんだが…」
ハンジは考え込んだ。
ジークの脊髄液は少しでも口にしたらアウトだ。しかもリリアは一度は巨人化しようとしたのものが止まっている。
飲んだ事は確実なのに何故止まったのだろう。
「…リヴァイ、最近リリアの体調はどうだった?やはりまだ悪かった?」
「あぁ……食欲は日によって落差がかなり……あと…気絶するみてぇに…寝ていた」
そうか、と一言呟くと、ハンジはウンと頷きリヴァイを見た。