第68章 #68 理由
その声が聞こえなくなると辺りの景色は元に戻った。
暫く呆然としていたハンジ、今のはエレンが始祖の力を掌握し、世界を壊す宣言をしたという事だ。
「今のは…まさか…エレンが世界を…」
その時だ、眠っていたリヴァイがゆっくり目を開けた。
今のエレンの声で気が付いたようだ。
「リヴァイ!!」
「…獣の…クソ…野郎は…どこだ…」
体を無理矢理起こそうとするリヴァイにハンジは肩を支え再び横にさせた。
まだ動ける体ではない。
「起きなくていい。ジークはイェーガー派とシガンシナ区に向かった。それから半日ほど経ってる」
するとリヴァイはハンジに視線を移した。
「ヘマをした……奴に…死を選ぶ覚悟があることを…見抜けずに…また…逃した」
「無念で堪らないだろう…でも今は…」
「このまま逃げ隠れて…何が残る」
そう言われハンジが目を見開く。
どうやら先程の言葉をリヴァイは聞いていたようだ。
ハンジが苦笑いを返す。
「何だよ、聞こえていたのか…」
「何を…作ってやがる……あれで…俺を馬で…引こうってか?蚊帳の外でお前が大人しくできる…ハズがねぇ…」
「あぁ…そうなんだよ、できない」
リヴァイは辺りに視線を向けるが、リリアの姿がどこにもない事に気付く。