第68章 #68 理由
それより数時間前、逃げ込んだ川から這い上がったハンジはリヴァイを抱え森の中へと身を隠した。
リリアが逃がしてくれたとはいえ、おそらく何人かの追手が来ている筈だ。
「とにかくリヴァイの止血!」
簡易でも良い、早くリヴァイの止血をしなくてはならない。
ハンジはリヴァイの羽織っていたマントをリヴァイの顔に巻き簡易的な止血をした。
そしてリヴァイの体を木の間に隠し、自らも姿を隠すと銃を構え追手を待ち構えた。
近付いてくる人の気配、やはり追手は来ていた。
ハンジは狙いを姿が見えた調査兵に合わせる。ツライがここで命を奪わねばならない。
でなければこちらが殺されてしまう。
ハンジは頰に涙を伝わせながら引き金を引いた。
「もう追っ手はいなくなったよリヴァイ」
ハンジは木をかき分け、リヴァイの隣に膝をつくと、ポケットから救急道具を取り出した。
顔を巻いていたマントを外しハンジはリヴァイの顔の深い傷を消毒し縫い始めた。
「…みんな巨人にされたけど君達だけ生き残った。この怪我でまだ生きているのも同じ理由だろうね。リヴァイがアッカーマンだからだ」
リヴァイの縫合が終わり、ハンジはリヴァイの顔に包帯を巻いた。
これで出血の方は大丈夫だろう。
どうにか落ち着く時間が出来、ハンジは焚き火を起こすと炎を見つめた。
リリアは無事なのだろうか。
あの場で殺されてはいないだろうか。