第67章 #67 壁内へ
「リリアさん?!あの…!」
「どうしてこんな酷い……」
リリアはナイルを見上げた。
「ナイル兄ちゃん、ジークの監視についていた調査兵団30人も脊髄液を口にして巨人になった」
「何だって?!その巨人達は…」
「私とリヴァイで……」
「そうか……よく無事だった。それはそうとリヴァイはどうした?」
立ち上がると悲しげな顔をし遠くを見つめた。
今、彼はどういう状況なのだろうか。心配で仕方ない。
「分からない……生きているのか死んでいるのか……」
「え?」
「あと……私も脊髄液口にしたの。でも…巨人化しなかった」
ナイルとファルコが目を見開いた。
やはりそんな事が起こるなど考えられないのだ。
「そ、それは…」
「オイ!リリア!!戻ってきたならお前も出ろ!!」
ナイルの言葉を遮り、砦から出てきていた他の兵士に銃を渡されたがリリアはそれを返した。
自分には立体機動装置がある、その方が戦いやすい。
しかしファルコを戦闘に巻き込むわけにはいかない。かと言って巨人化してしまう可能性のある彼を避難所に連れて行く事も出来ない。
「ファルコを一人には出来ない。でも戦闘に巻き込むわけにもいかないから……とりあえず安全な所へ連れて行く」
「そうだな」
「いや、でもオレは…!!」
「時間がない、行こう!」
リリアはファルコの背中を押した。
どこか戦闘に巻き込まれない所はないか、しかしここシガンシナ区はどこも戦場になるだろう。
避難所には連れて行けない、ならば逆にマーレ兵に近付き返した方が良いのだろうか。
そう考えながら砦の敷地を出たその時だった。