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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第67章 #67 壁内へ


しかし事態は最悪な方向へ向かっていた。壁内に近付いた時点で黒煙が上がり、壁の上には車力の巨人の姿が見える。

「もう始まってる…!」
「ジークさん急いでエレンの所に!!俺達も援護に回るぞ!!」
「フロック!私は巨人とは戦えないから他の兵士達の援護をする!兵士達はどこに閉じ込めたの?」
「兵達は砦の地下です、お好きにどうぞ。行くぞ!!」

そう言うとフロック達は車力の巨人の方へと向かって行った。
リリアも急ぎ壁内に入り砦を目指す。まずは他の兵士達と合流しなければ。

壁内に入るとすでに住民達の避難は完了しているようだった。
それだけは救いだ。
マーレ兵もまだ砦付近には侵入してきていない。
しかし銃声は鳴り止まず、確実に戦闘が始まっている。
遠くから轟音が聞こえ、エレンがマーレの巨人達と戦っているのだろう。

砦に到着すると解放された兵士達が銃を持ち出てきている所だった。
リリアは馬から降りると丁度出てきたナイルを見つけた。

「ナイル師団長!」
「リリアちゃん!!」

何故ここにリリアがいるのかナイルは理解出来ないような表情だ。
そしてナイルの隣にいる子供に視線が行った。
それはファルコだった。
どうしてファルコが兵達と一緒に出てきたのだろうか。しかも一人で。

「ファルコ?どうしてここに……ガビは?」
「ガビはいません……どこにいるのか分かりません。オレは……」

ファルコがナイルを見上げる。

「上層部の兵士は地下に入れられていた。そしてこの…腕に黒いスカーフを巻かれた者達は皆、ジークの脊髄液を口にしている。この子は別で何らかのトラブルで口にしたみたいだ。俺達と一緒に入れられていた」
「え……?」

自分達調査兵団だけではなかった。
どうやら兵団の上層部の人間はほぼ全員、脊髄液を口にしたようだ。
そしてファルコも。
ジークが叫べばかなりの人数が巨人化する事となる。とんでもない事だ。
しかもこんな子供まで。ファルコは戦士候補生、巨人になってしまったら後はどうなるのか分かっている。
きっと恐ろしくて仕方ないだろう。

リリアは膝を着くとファルコを優しく抱きしめた。

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