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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第67章 #67 壁内へ



「リリア兵長、逃しましたか?」
「……リヴァイは死んでいたし、ハンジも一人では何も出来ない」
「それで?残った貴女は大人しく死んでくれるんです?」
「あはは、私だって一人じゃ何も出来ないよ。だから今、自分に出来ることをしたい。ただ……」

リリアは向けられた銃口を掴みグイッと手前に引くとフロックの耳元で呟いた。

「私はエレンから彼が本当は何をしようとしているのかを聞いている。もしここで私を殺すのなら今すぐジークに全てを話す」
「………」
「それに人間相手ならこの兵士達、私一人でなんとか出来る」
「はぁ……分かりました。脅さないで下さいよ。共に壁内に戻りましょう、貴女は同志だ」

リリアは銃口から手を放し、フロックからも離れた。
賭けだったがこれで殺される事はないだろう。

「リリア兵長」
「……何」
「人に執着する貴女がリヴァイ兵長が死んでそんな平静を装えるとは思えないんだが」
「………必死に耐えてるんだけど?」
「まぁいい。泣き喚かれると迷惑だ」
「はいはい」

フロックはリリアから離れジークの元へ向かった。
はぁ、と大きなため息を漏らしリリアは俯き左腕に触れた。
今、左腕はマントの下に隠してある。復活したと知られては困るからだ。
自分は戦力外、そう思われていた方が動きやすい。



「ジークさん、何があったんですか」
「分からない、知らない少女が土をこねて俺の体を作った。知らない場所でただそれを見ていた。何年もそうしていたような気がするし、一瞬だったような気もする。あれは……そうか…あれが道なのか」
「ジークさん、あなたを拘束していた調査兵団30名は巨人にして従えたのですよね。彼らはどこに」

その言葉にリリアが反応する。
フロック達は脊髄入りワインの事を事前に知っていたのだ。
リリアは再びフロックの元へ向かうと腕を引っ張った。

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