第67章 #67 壁内へ
「リ……リヴァイ?一体…どうして…」
「ハンジ…ハンジ!!リヴァイが死んじゃった…雷槍を目の前で受けて…私を庇って……息してないの、死んじゃった…死んじゃった…」
ハンジがリリアを見る。
何故か"死んだ"を強調してくるリリアに違和感を覚え、見るとリリアは涙を流していない。
泣いた真似をしているだけだ。
おそらくフロック達にリヴァイが死んだと思わせたいのだとハンジは悟った。
「リリア、リヴァイを見せて」
「うん……」
ハンジがリヴァイの脈をみると、やはり微かにまだ脈を感じる。
視線をリリアに移すとリリアは小さく頷いた。
するとハンジの後ろからフロックと数人の兵士リヴァイの生存確認に近付き、リリアは再び視線を落とした。
フロックは血塗れのリヴァイを見て安堵している。
「何があったか知らねぇけど…運がいい。一番の脅威が血塗れになってる」
「頭に一発撃ち込んでおきましょう」
「死んでるよ」
ハンジが即答する。
「至近距離から雷槍の爆発を受けたんだろう。訓練時に同様の事故を見てきたが外傷以上に内臓がズタズタになって即死だ」
「俺も脈くらい計れる。見せて下さい」
脈を計られてはまずい、生きているのがバレてしまう。
ハンジは眉をひそめた。
リリアも下を向いたまま拳を握る。
どうにかここを切り抜けなければ本当にリヴァイが殺されてしまう。
どうする、このままフロック達をここで手にかけるか、そう思ったその時だった。