第67章 #67 壁内へ
「よし……まだ生きてる。怪我はどこが一番酷い」
今目視できる範囲では顔からの出血が酷い、体はブレードで防いだのかそこまで酷い怪我は見えないが内臓の方は傷付いているかもしれない。
とりあえず出血を止めなくては。
しかし治療をする物がない、爆発で殆どの荷物が消し飛んでしまっている。
「どうしよう……何か……」
その時だ。
僅かだが人の声が聞こえた。
リリアは一瞬安心したが直ぐに眉をひそめた。
こんな所に来るのはおそらくジークを探しにきたイェーガー派の兵士達だろう。
このまま見つかれば殺されるのは間違いない。
しかし誰かがこの場所を教えた筈だ。壁内にいた者でジークの居場所を知っていたのはハンジだ。
ならば今向かってきている者達の中にハンジがいる可能性が高い。
「リヴァイ、もう少し頑張って。ハンジなら助けてくれるから」
フロック、ハンジ、そしてイェーガー派の兵士達は先程爆発音がした場所へと近付いていた。
すると何やら啜り泣く声が耳に入ってきた。
前方にはバラバラになった荷馬車、何故かうずくまっている巨人、そして血塗れになったリヴァイを抱きしめているリリアの姿。
泣いていたのはリリアだった。それに気付いたハンジが慌ててリリアに近付いた。
「リリア?!リリア!!どうしたの?一体何が……」
「ハンジ団長!勝手に動かないで下さい!!」
駆け寄ったハンジがリリアの抱きしめている血塗れのリヴァイの姿を見て息を飲む。
まさかあのリヴァイがこんな姿になってしまうとは思いもしなかった。