第66章 #66 見破れなかった覚悟

「出来ねぇよ……俺にお前は殺せねぇ」
「だったら置いて行って」
「死ぬ必要ねぇだろ！？」
「あるよ！！こんないつ巨人になるのか分からない体じゃ壁内には戻れない！巨人になったら人を食べる！今まで私達は巨人を倒してきた、なら巨人になるかもしれない私の事もここで殺さなきゃならないの！」

リヴァイが歯を噛みしめる。


『リヴァイさん！私はリリア・スミスです！どうかお願いがあります、私に個人的に訓練を付けてはもらえないでしょうか！』


『分かったろ、お前は向いてねぇ。さっさと辞めちまえ』
『私は……強くならなくちゃ…いけない』
『無理だ、人には向き不向きがある。テメェは大人しく家に帰れ』
『強く……ならなきゃ…』


『リヴァイさぁぁあん！！み、見ましたか？！わた、私！一人で、一人で巨人倒しましたよ！！！』


『あっ！リヴァイさん！！今度の壁外調査の…』
『敬語はいい』
『え？』
『敬語は使わなくていい。あと名前もさんを付けるな』
『じゃあ……リヴァイ！』


『リヴァイ！』



「なんで……そういう事を言う……お前が俺にとってどれだけでかい存在になったと思ってんだ…」



俺がずっと欲しかったものを
お前はくれた

俺を受け入れ
愛してくれたお前が何よりも大事で


「やっと……欲しかっ……家族に……な…」


ハッとリリアはリヴァイを見上げる。
支えられたその手は震え、最後まで言わなかった言葉の重みを感じた。



"やっと欲しかった家族になれると思ったのに"