第66章 #66 見破れなかった覚悟
リヴァイはため息をつき腰を下ろすとリリアを見た。彼女はジッとジークを見つめている。
「ジークから見ても私が最後まで巨人化しなかったのは意外なんだ」
「………もう考えても仕方ないだろ。巨人化しないならしないでいいじゃねぇか。腕も戻ったし良い方に考えろよ」
そう言われてもリリアには不安しかない。
確かに左腕は戻ったが、いつ自分が再び巨人化するかが分からない。
もし巨人化したらもうお終いだ。
戻る事も出来ない、リヴァイに殺される。
そんな状態で森を抜けていいのか?もし壁内に戻るのだとして、壁内で巨人化したらとんでもない事になる。
「……少し休むか」
「うん……ちょっと川辺に行ってきていい?気持ち悪い」
リリアは荷馬車から降りると近くの川辺にゆっくりと歩いて行った。
そんなリリアをリヴァイが後ろから見守る。
リリアは川に映る自分の顔を見つめた。
今は普通の人間だ、だがいつ巨人の姿になるのか分からない。
怖い…
怖い……
そして思った。
やはり自分がジークに拘って森に来たのがいけなかった。
どうしてジークの最後をこの目で確かめなくてはいけないと思ったのか、エルヴィンの仇ならリヴァイが必ずとってくれる、そう、自分なんかより確実に。
「リリア、大丈夫か?」
なかなか戻ってこないリリアを心配し、リヴァイが近付いてきた。
そして優しく背中をさする。
「リヴァイ……」
「ん?」
「私ね……ジークの最後をこの目で見る事に拘っていたんだけど…お兄ちゃんの仇を取るために……でもさ、今思えば別に私が仇を取らなくてもリヴァイがやってくれる、私なんかより確実に」
リヴァイはさすっていた手を止め、眉をひそめた。
嫌な予感がする、リリアがとんでもない事を言い出しそうだ。
「そう思ったらさ私、特にいらなくない?」
「は?」
「リヴァイさえいれば、このまま私が壁内に戻らなくても支障はないでしょ?だから……」
やめろ
その先を言うな