第66章 #66 見破れなかった覚悟
「こうなると死なねぇってのも難儀だな。同情なんかしねぇが。お前は俺の部下の命を踏みにじった。テメェがゲロクソまみれで泣き喚くのも全て計画通りか?!」
リヴァイが立ち上がり、ジークの足を切り刻む。
その痛みにジークは叫び上げた。
リリアはまだ冷めた瞳でジークを見ている。
巨人にするという意思のないこの叫びはおそらく巨人化しないのだろうか、体に異変はない。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
「うるせぇな!!こうやって斬っておかねぇと、テメェが巨人になっちまうだろうが!!」
「うあぁぁぁぁぁ!!!!!」
力なくジークはゆっくり視線を上げると、リリアを視界に入れた。
「な…ぜ……巨人化……してない…」
「あ?」
「ワインを……飲んだのに……」
リヴァイとリリアが眉をひそめる。
ジークから見てもリリアが巨人化していないのが信じられないらしい。
そういえばとジークが飛行船でのエレンの言葉を思い出す。
"そもそもどうしてリリア兵長をこんな所に連れてきたんですか"
"そうか……まだ知らないんですね"
(エレンはリリアちゃんが飛行船に乗ってくる事はないと思っていた……何故だ?リヴァイが……まだ知らない事?)
ジークは二人の行動を思い出した。
見張りは交互にしていたが、たまに兵士達が二人を一緒に休憩させる時があった。
お互いを見る目が他とは違う。
(あぁ……そういう事か……)
「リヴァイ……本当に……エレンの…言う通り……どうして…リリアちゃんをこんな場所に……可哀想に…いや……これで救われるのか…」
「あぁ?何を言ってやがる?」
しかしジークはそれ以上リリアに関しての事は言わなかった。
「俺の……眼鏡は……どこ…だ」
「知るかよ。もうお前に眼鏡なんか必要ねぇよ」
そう言うとジークは意識を手放した。