第66章 #66 見破れなかった覚悟
「ここにいろ」
さらに森の奥に入り、リヴァイが補給物資を保管していたテントに向かう。
テントは何とか無事だった、馬も何頭かは無事だ。
中から必要な物だけを運び荷馬車に乗せる。そしてその荷馬車をリリアの所まで持っていくと、リヴァイは再びリリアの腕を引いた。
「立て。ジークを拾って森を抜ける」
「………」
リリアは立ち上がろうとしない。
しかしいつまでもここにいるわけにはいかないのだ。リヴァイはリリアの体を持ち上げると荷馬車に乗せた。
暫く進み、木に縛り付けていたジークを回収するとリヴァイはジークも荷馬車に乗せ森を抜けた。
(下手すりゃジークの居場所を聞いたイェーガー派とぶつかるかもしれねぇな…そうなったら……)
リヴァイは荷馬車を止めリリアを見る。あれからずっとリリアは俯いたまま何も喋らない。
相当ショックを受けているのが分かる。
「リリア、今からジークの腹に雷槍を刺す。見たくなきゃ顔をそのまま上げるなよ」
ジークが起きた際に逃げないようにしなければならない。
リヴァイは持ってきていた雷槍をジークの腹部に刺し、信管の繋がったワイヤーをジークの首に巻いた。
「殺さないの?」
リリアが呟く。
雷槍を刺すところも冷めた表情で見つめていた。
あまりに精神的にやられているのか、もはや感情を読み取れない。
「あぁ、まだな。こうやって繋いでおけば逃げねぇだろ。コイツに腹真っ二つになる覚悟はねぇよ」
その時だ。
ジークが少し動き目を開けた。
「うっ……」
「目が覚めたか」
「うあ……」
「オイ待て、動くんじゃない。雷槍の信管を繋ぐワイヤーをお前の首に括ってある。下手に動いたらお前は腹から爆発して少なくとも二つになるだろう」
ジークは腹部に刺さった雷槍を見ると目を見開き、吐いた。