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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第66章 #66 見破れなかった覚悟



いつ巨人化するか分からない不安が二人を襲う。
リヴァイはリリアにかける言葉が見つからない。
ゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡すが残っている巨人はいないようだ。
腕が戻ったとはいえよく一人で20体の巨人を倒した。

「リリア、とにかく森を出る」
「……」
「立てるか?」

リヴァイがリリアの腕を引くがリリアは立ち上がろうとしない。

「リリア?どこか痛むのか?」
「……て」
「何?」
「置いていって…」
「何を言ってやがる。立て」

強く引っ張るが、それでもリリアは立ち上がらない。

「罰だ……」
「罰?」
「私はエレンから彼が何をするのかを聞いていた。エレンが近いうちに牢から抜け出す事も多少の犠牲が出る事も予想はしてた……本当ならここに来ないで壁内にいればザックレー総統が殺されるのも兵の離反も防げたかもしれない」

リヴァイが眉をひそめる。

「お前、エレンに聞いたってフロックがイェーガー派を率いて離反する事を知っていたのか?」

リリアが首を振る。
そんな事は知らない。

「ザックレーが殺される事は?」
「知らない」
「ジークの脊髄液入りのワインの事は?」
「知らない……」
「だろうな、知ってたら飲まねぇだろ」

俯いたままのリリアの隣に膝を着き、リヴァイが背中に手を添えた。

「エレンにジークの居場所を教えたか?」
「教えてない……私はエレンに味方したわけじゃない」
「エレンがお前に教えたのは必要最低限の事だろう。そこでお前が壁内に残っても恐らく結果は変わらなかった。だからお前が犠牲を見逃した罰じゃねぇよ」

リヴァイは優しくリリアの背中を撫でる。
少しでも不安を和らげてあげたい。

「何故エレンが最も信頼しているミカサやアルミンではなくお前に話をしたと思う」
「え?」
「お前に計画を話した所で、お前の優先順位がジークなのには変わりねぇからだよ。現にお前は壁内じゃなくここにいる。エレンとっちゃお前は話しても害のない存在だったって事だ。悪く言えばな」

特に害がない、確かに言われてみればそうだ。
リヴァイはため息をつくと立ち上がった。
しばらくリリアは動きそうにない。

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