第65章 #65 叫び
リリアに蹴り飛ばされたリヴァイは受け身を取ると木を見上げた。
巨人化した部下達がドサドサと木の上から降ってくる。
それと同時にリヴァイに向かって襲いかかり、リヴァイは急ぎ木の上に立体機動で登った。
やはり全員巨人化している。
「お別れだ兵長、部下思いのアンタの事だ。多少大きくなったくらいで何にも悪くない部下を斬り殺したりしないよなぁ?」
ジークは後ろを見ながらその場から走り去っていた。
リヴァイはきっと部下を殺せない、自分を追いかけてくる事はない、ジークはそう思っていた。
「クソっ!!」
リヴァイは逃げながら考えた。
どうして皆が巨人になったのか、そして気付いた。
先程ジークがワインの事を喋っていた事を。
普通長期の任務だからと酒が補給される事などない、おそらくあのワインが原因だ。
そしてリヴァイはリリアがあのワインを口にしたのを見ている。
確実にリリアはジークの叫びで巨人化した。
(ジークの脊髄液がワインに?いつから仕込まれていやがった。体が硬直する予兆はなかった。嘘だってか?)
巨人はかなりの速さでリヴァイを追いかけてくる。
しかしその動きは今まで相手にしてきた巨人とは違う。
(クソ!!はぇぇ!!動きが普通じゃねぇ!これもジークの仕業か!!)
リヴァイが伸ばされた巨人の腕を避けると、その後ろから別の巨人が手を伸ばしていた。
捕まる、リヴァイはブレードを抜くとその巨人の手を切り刻んだ。
振り向きその巨人を見ると、先程まで側にいた兵士のバリスと顔が重なる。
(バリスっ?!)
リヴァイを捕食しようと喰らい付くが、リヴァイはガスを噴射し軌道を変えそれを避けると、巨人の背中側に移動した。
目の前にうなじが見える。
(まだ…そこにいるのか?お前ら…)
巨人達が空中から降りてくるリヴァイを目掛けて飛び込んできた。
しかしリヴァイは慌てなかった。
冷静に向かってきた仲間達を
斬った