第65章 #65 叫び
リヴァイがジークに背を向けるとリリアが戻ってきた。
リリアの表情は暗い。
「リヴァイ…」
「ピクシスの返答がどうであろうと奴を斬る。完全武装の兵士が30名、この森を上から囲んでいる。獣の巨人になろうと奴に逃げる術はない」
「うん…」
「やはりヒゲヅラ野郎は俺達の敵だった。それが判明した時点で人質に手足を付けとく理由はねぇよな」
するとリリアがリヴァイの服を掴んだ。
暫く俯いていたが、ゆっくり視線だけをリヴァイに向ける。
「じゃあ、もう殺していいの?」
「……あぁ。エルヴィンとの誓いをようやく果たせる。死んでいったアイツらの意味を証明出来る」
するとリリアがリヴァイの後方を見つめていた。
どうしたのかとリヴァイも後ろを向くと先程まで本を読んでいたはずのジークがいない。
木箱と上に置かれた本が風に吹かれパラパラとページが捲れている。
「え……逃げた?」
「はっ?」
ジークは走ってその場から離れていた。
逃げれる筈もないのに何故逃げた。
リヴァイに嫌な予感が走る。