第65章 #65 叫び
リヴァイは立体機動でその場を去った。
残された兵士達が困ったようにリリアを見つめている。
リリアは深く息を吐いた。
リヴァイのそのやり方では王家の血を継ぐ巨人がいなくなるため、必然的にヒストリアが犠牲となってしまう。
しかし今のリヴァイはそんな事考えていられないのだろう。
リリアとしてもヒストリアの犠牲は避けたいが、ここまで来てしまってはそれを考える時間もない。
リリアもリヴァイもジークを倒す事を優先したい。
「リヴァイの言う通りにして」
「……分かりました」
そう言うとリリアはリヴァイの後を追った。これからどう動くのか決めなくてはいけない。
まさかこんなに事態が大きく動くとは思っていなかった。
すでにリヴァイはジークの所に戻っていた。
変わらずにジークは静かに本を読んでいる。
「読書は楽しいか?」
「面白いよ?7回も読んだ割には」
「俺達の会話が気になって集中出来なかったろ」
「7回も読んだ本に熱中しろってか?ところでワインはもう残ってないのか?」
リヴァイが舌を打つ。
「ひと月もここにいるんだぞ。一滴も残ってねぇよ」
「まったく……はぁ…ひでぇ拷問を考えるもんだ」
「…読書を続けろ」
「了解だ。ボス」