第65章 #65 叫び
先程リリアに報告をした兵士達の元へ向かい、リヴァイにも説明をしてもらう。
エレンが地下牢から逃亡し、ザックレーが殺害され、壁内にはイェーガー派というエレンを支持する派閥が出来ている事。
「何?それは本当なのか?ザックレーが殺された?」
「はい。今、壁内は実質的にイェーガー派によって支配されています。全てはジークがエレンやイェレナを介して実行した一連の工作ではないかと考えられています」
「それで?」
「近くイェーガー派の要求通りエレンをジークの元まで案内する手筈となっております」
やはり、とリリアが眉をひそめた。
「ピクシスが大人しく従うって?」
「お察しの通り、あくまでも司令は堅実な構えです」
するとリリアが口を開く。
「エレンを他の人に喰わせるつもりなのかな、私達の手で」
「そうです……」
リヴァイはなかなか視線を上げない。
色々と思う事があるのだろう。
エレンの命を今まで何度も救い、その度に何人もの仲間を失った。
それが人類が生き残る希望だと信じていたのに。
(俺達が見ていた希望ってのは一体何だったんだ。あの死闘の結果がこの茶番だと?)
「ふざけるな…。冗談じゃねぇ。巨人に喰わせるべきクソ野郎は他にいる!」
「えっ?どういう事です?」
「エレンじゃなくてジークの獣を他の人に移すんだよ」
「え?」
代わりに答えたリリアを見てバリスは首を傾げた。
「イェーガー派とかいうのを1人でも捉えて巨人にし、ジークを喰わせてやれ。エレンが本当にジークに操られているかは知らんが、ジークさえ失っちまえば連中はお終いだ。ピクシスにそう伝えろ。行け」
「本気ですか?兵長」
「奴の手足でももいでおけば、爺さんも腹括るだろ」