第64章 #64 マーレ産ワイン
週間が経った頃、交代の時間になりテントに向かっていたリヴァイ、やはり二人交互にジークを見張る為になかなか時間が取れない。
あまりリリアの元気な姿も見れておらずリヴァイは心配でたまらなかった。
食事もあまり摂らない、見張り以外の時はいつも横になっている、見た目もさらに痩せてしまっていた。
(何なら食えるんだ…パンもダメ、スープも飲もうとしねぇ。しかも最近は何であんなに吐く…本当に頭の病気か?何か別の……)
考えながら歩いていると大きな木の上に気配を感じ見上げた。
すると探していたリリアが木の上で何かを探し、拾いあつめている。
じっと見ていると、その何かを口に入れた。
「おいコラ!!何か変なモン食ってんじゃねぇだろうな!!」
「ひぇぇぇ!!」
突然リヴァイに声をかけられ驚いたリリアはバランスを崩してしまった。
「「あっ」」
二人の声が重なるとそのすぐ後にリリアが木から落ちてしまった。
慌ててリヴァイは手を広げて落ちてきたリリアを抱き止める。
「ば、バカ!!危ねぇだろうが!!」
「だってリヴァイがいきなり声かけるから!!」
あーあ、とリリアが手を開く。
開かれた手の平に真っ赤な何かがベットリと付いており、リヴァイが目を見開いた。
「血がっ」
「違うよ、これ野いちご潰れた」
「……は?」
「この木の下に野いちごがなってて、蔦を伝って上に登ったらたくさんあってね。つい美味しそうで食べちゃった!」
指差された木を見上げるリヴァイ、結構な高さだがリリアは片腕で登ったのだろうか。
見ると休憩時間だったからか立体機動装置を付けていない。
「お前、よく登ったな」
「ん?これくらい枝と筋力あれば行けるでしょ」
「……筋力……」
リリアはペロリと手の平で潰れてしまった野いちごを舐めた。
「美味しい!」
「……それなら食えるのか?」
「そうだね、野いちご食べやすい」
するとリヴァイはリリアを抱えて先程リリアが登っていた木の上まで立体機動で再び上がった。
確かに野いちごがたくさんなっている。