第64章 #64 マーレ産ワイン
リリアはそのままリヴァイと交代しジークの監視に戻った。
ジークは静かに本を読んでいたが、戻ってきたリリアを見て口を開く。
「何かワイン来たみたいだなー。いいなぁ、俺も飲みたい」
「………」
何故ここにいたジークが補給の中身を知っているのか分からなかったが、その時は気にもしなかった。
ただ話しかけられたのがリリアにとって不快でたまらない。
「美味かった?」
「うるさい、話しかけるな」
「あー、リリアちゃんお酒苦手なんだー!!お子ちゃま!」
「の、飲めた!!ふ、ふた口……」
「……本当にお子ちゃま」
リリアは頬を膨らませるとフイッと横を向いた。
ジークがクツクツ笑う。
「まぁ、一口でもいいよ」
「何?」
「別にー。そういえばリリアちゃん体調悪いんだって?大丈夫?」
「関係ない」
「何だよぉ、心配してるのに」
ジークはため息をつきながら再び本を読み始めた。
この時にやはり気付いておくべきだった。
どうしてこのタイミングでの補給だったのか、中身が今までに補給された事のないワインだったのか。
そして何故、ジークがそれを知っていたのか。