第64章 #64 マーレ産ワイン
「果物は?食えるか?」
「……うん」
リヴァイは食料の入った袋からリンゴを取り出すとナイフで皮を剥き始めた。
それをジッと見つめていたリリアだが、ふとまた急に眠気が襲う。
頑張って目を開けようとするのだが、だんだんと視界が狭くなり目を閉じた。
ガタンっと倒れるように床に転がったリリアにリヴァイは驚きリンゴを落とした。
「は?オイオイオイ!」
今まで話していたのにすでに深い眠りについているリリア、リヴァイは訳が分からずリリアの肩を揺する。
寝ているのか、気絶したのかどちらだろうかと焦ったが、どうやら寝ているようだ。
「……何なんだよ一体……そんなに睡眠が足りてねぇ筈ないだろ。リリア、おい起きろ!とにかく胃に何か入れろ」
「う…ん……」
腕を引っ張り無理矢理起こしたその時だ。
外から部下がリヴァイとリリアを呼び二人は顔を見合わせた。
リリアは眠そうな目をゴシゴシと擦り、目を覚まさせようと頭を振る。
「どうした?」
「リヴァイ兵長、リリア兵長。壁内からの補給が届いたんですが」
補給が来ただけで何故声をかけられたのだろうか。
二人が外へ出ると大きな補給の入った箱とたくさんの兵士達。
皆、笑いながら二人を見ている。
「何だ…お前ら」
「リヴァイ兵長、リリア兵長、中身を見て下さい」
箱の中身を見てみると大量の瓶が入っている。
リヴァイが一本取り上げると、その瓶にはワインのラベルが貼ってあった。
「ワインだと?どうして任務中に酒がいる」
「兵長!!これは憲兵の連中しか飲めなかったマーレ産の希少なやつなんですよ!!少しくらい楽しみがないと…」
「紅茶があるだろう」
「へいちょ〜〜〜う!!!」
皆が必死にリヴァイにすがり、それを見てリリアが笑う。
「めんどくせぇな。良いだろう、持って行け」
その一言に兵士達が喜びあった。
確かにこれくらいの楽しみがないと、ずっと薄暗い森の中に居続けることは精神的につらいだろう。
少しくらいは大目に見なくては。