第64章 #64 マーレ産ワイン
テントに入ると横になり目を閉じているリリアが視界に入った。
胸が上下にゆっくり揺れ、寝ているのが分かる。
リヴァイはリリアの横に膝をつくと、彼女の額に手を添えた。
(少し熱いな……熱があるのか?)
額に当たるヒンヤリとした感触に、リリアがゆっくり目を開ける。
「ん……交代?ごめん、寝てた」
「いや、違う。部下が時間をくれた。お前の様子を見てこいと」
目を擦りながら起き上がるリリア、まだ眠たそうだ。
「メシ食ったか?」
「まだ……いらない」
「ここ何日かまともに食ってねぇんだろ?外で部下達が作ってるから持ってくる」
「いい、いらない。後で自分で食べるから」
「お前なぁ」
「吐くからやなの」
リヴァイが眉をひそめる。
絶対に見ておかないと食べない、これ以上痩せると体力的にもたなくなる。
「何なら食べれる。ここにないなら壁内から取り寄せる」
「そんな迷惑かけれないでしょ?私は大丈夫だから。監視に戻って」
「オイ、リリアちゃんと…」
「うるさいな!!後で食べるって言ってるでしょ?!」
なんて事を言ったのかとリリアはハッと口を押さえた。
心配してくれているのは分かるのだがつい反抗してしまった。
ボロボロと涙が溢れる。リリア自身、当たるつもりはなかったのだろう。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
「……ほら見ろ。食わねぇからイライラする」
「うっうっ……」
リヴァイはリリアの横に腰を下ろし頭を撫でた。
情緒が不安定なのは分かる、しかし何故急にこうなってしまったのだろうか。