第64章 #64 マーレ産ワイン
暫くし到着したのは巨大樹の森、ここでジークを勾留し兵団からの指示を待つ事となる。
いきなりこんな場所へ連れてこられたジークは口をあんぐりと開け、森を見上げていた。
「俺のホテル、これ?」
「何か不満でもあるのか?巨大樹の森だ、これ以上お前に相応しい宿はねぇよ」
「立体機動でたくさん遊べそうだしな。なぁリヴァイ兵長、ガビとファルコにもこの雄大な自然を見せてやりたいんだが」
「ッチ…。ガキが雄大な自然を拝めるかどうかはお前次第だ」
森の奥へと入り数人の兵士とリヴァイ、もしくはリリアが交代でジークを監視する。
その為に森に入ってから二人でいる時間はなく、会話をする事も殆どない。
ただ互いの状況は分かる、それだけは安心だった。
「リヴァイ兵長」
「なんだ?」
一人の兵士がリヴァイに話しかける。
そろそろリリアと交代の時間だ。その事を言いにきたのだろうか。
「リリア兵長の事ですが、何か病を患っていますか?」
「……どうした、何かおかしいか?」
リヴァイは眉をひそめた。
何か症状が出ているのだろうか。
「ここ3日くらいまともに食事をされてませんし、監視の時以外は横になっている事が多いので。それに声を掛けても意識がないくらいに深く眠られているので心配で…。あの、ここは私がいますのでリリア兵長の様子を見られて来てはいかがですか?」
「……そうか。分かった」
リヴァイは立ち上がるとリリアのいるテントへと向かった。
それをジークが静かに見つめている。
「何?リリアちゃん体調悪いの?」
「………」
兵士はジークの質問を無視し、監視についた。