第64章 #64 マーレ産ワイン
「リリアちゃん」
「何」
「リリアちゃんの左腕、どうしたの?元々ない訳じゃないよな?戦うのが専門の調査兵団なんだから」
その言葉にリリアは歯を噛みしめた。
左腕がないのは何故か?
腕を持っていった本人がそれを問うか。
「リヴァイ……やっぱりここで殺す」
「えぇぇぇ?!どうしてそうなるの?!」
「お前にやられたんだよ!!」
「俺?………あー!!そうか思い出した。あの囮はそういえばリリアちゃんだったよな、あの時か。そりゃあ悪かったね」
ジークの言葉の軽さにどんどん苛立つリリア、隣のリヴァイが落ち着けと宥める。
「でもさ、腕が無くなったのはリヴァイのせいだろ?リヴァイがもっと遅く出てきてれば良かったのに」
「あ?」
「そしたら囮として死ねたろ?命だけはと早く飛び出したもんだから中途半端に腕だけ持っていかれたんだ。リリアちゃんが腕無くして苦しんでるのはリヴァイのせい」
リヴァイが目を見開く。
するとダンっとリリアが立ち上がった。
その表情は怒りに満ちている。
「私がいつ!!左腕が無くて苦しんでるって言った?!これ以上リヴァイの事悪く言ったら……今、ここで!!殺すぞ!!ヒゲヅラ!!」
「ちょっと!リリアちゃんまでヒゲヅラって!!もー!リヴァイが俺の事ヒゲヅラ言うから!ったく…悪かったよ」
リリア、と名前を呼びリヴァイがリリアの服を引っ張り座らせた。
苛立ちを隠せないままリリアが座る。
するとリヴァイは視線を小窓の外へと向けた。
"リリアちゃんが腕無くして苦しんでるのはリヴァイのせい"
ジークの言葉が何気に痛かった。