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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第63章 #63 異変



「リヴァイ?痛いよ」
「悪ぃ…」


"今日元気でも明日……もしかしたら数時間後に死んでしまう事だってある。それを頭に入れておいてね"


ハンジの言ってきた言葉が頭から離れない。
リリアが死んでしまう可能性があるなど考えたくないが、今までの事を振り返ると思い当たる節があり過ぎる。
彼女は頭部を殴打しすぎだ。
女型の巨人との戦いもだが、リリア本人がよく頭突きをする事も多い。
先程もガビという子供から頭突きを受けた。自分自身もエルヴィンが死んだ際に激昂したリリアから頭突きをされた。その威力は半端なく頭部への衝撃は相当だろう。

険しい顔をしてそんな事を考えているとリリアがリヴァイの胸に擦り寄ってきた。

「リヴァイ、寝よ?明日も早いし」
「あぁ」

リリアを抱きしめたまま目を閉じると、さすがに戦闘での疲労がピークだったからだろう。
珍しくリヴァイはすぐに意識を手放し、眠りについた。



数時間経った頃だった。
リヴァイの胸の中にいたリリアから呻き声が聞こえてくる。
縮こまり頭を抱えているようだった。
リヴァイは異変に気が付くと目を開けリリアを見た。

「リリア?どうした?」
「大丈夫…何でもない」
「頭が痛ぇのか?」

リヴァイはベッドから降りるときちんとリリアを横にして寝かせた。
痛みからか額には汗をかいており、表情もつらそうだ。

「薬は?どこにある?」
「……ない」
「ない?」
「薬嫌い、飲まない」
「そんな事言ってる場合かよ!待ってろ今からすぐに貰って」
「いいから……すぐ治る、大丈夫。だから行かないで」

懇願するリリアにリヴァイは刃を噛みしめるとリリアの手を握った。
少し時間が経過するとリリアの言う通り痛みが和らいだのか体の力が抜けていた。
リヴァイはタオルを濡らすとリリアの顔を拭き頰を撫でた。

「落ち着いたか?」
「うん……もう平気だよ。ごめんね、起こしちゃって」
「俺の事はいい。休め」

まだ少し荒い呼吸をしながらリリアは目を閉じた。


(頼むから急に痛がって死ぬのはやめてくれ……)


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