第62章 #62 ありがとう、さようなら
「リリア兵長は構わずジークとオレの接触を避けてもらって構いません。接触させないつもりでしょう?兵団は」
「エレン……どうして全部私に話したの?」
エレンはリリアに手を差し出すと、ゆっくりとリリアがその手を取った。
ギュッと力強くエレンが手を握る。
その手はとても温かい。
「……もう決まっているんです、リリア兵長がどう動こうと。それにリリア兵長はオレの話を聞いてももう行動は変えないでしょう?あなたの…兵長達の目的は獣の巨人の討伐、それでいいんです。自分の思う通りに進んで下さい」
「………エレンは意地悪だ…」
「そうでしょう」
涙が溢れる。
自分はこれからエレンの目的を知りながら先へ進んで行かなくてはならない。
今の自分ではエレンを止める事も出来ない。他に方法がないのだから。
本当に、本当にないのか?
「エレンはマーレで失踪する前に私に『リリア兵長は絶対に味方をする』って言ったけど、今回ばかりは味方にはなれない。このやり方はあまりに人を殺しすぎる」
「そうです。いいんです、味方なんてしなくて。悪はオレだけでいい」
「でも…でも…!!私にとってエレンは大事な仲間だよ…それは今でも変わらない」
エレンは目を見開いた後、哀しげに微笑んだ。
「ありがとうございます。もうその言葉だけで…救われた気がする。リリア兵長」
名を呼ばれゆっくり顔を上げると、エレンはとても優しい笑顔を向けていた。
「オレも仲間が大事ですよ!これだけは絶対に、絶対に変わりません。だから兵長の思う通りに進んでください!!」