第61章 #61 戦いの始まり
「クソがっ、重てぇんだよ!とっとと手足生やせ」
「えぇ〜?斬ったのはリヴァイだろ?」
その声を耳に入れリリアは振り向いた。
ドアを開けて入ってきたのは手足を斬られたジークを運ぶリヴァイだった。
リヴァイは手荒くジークを放り投げる。
「アイタ!!!酷い!」
「うるせぇな」
するとジークの前にリリアが立った。
「お?可愛い子が出迎えてくれたな」
ジークは笑っていたが、リリアの表情は恐ろしいものだった。
リリアはジークの胸ぐらを掴むと壁に向かって投げ飛ばした。
投げられたジーク本人は驚きで目を丸くする。
こんなか弱そうな女の子が、右腕一本で自分よりも大きな体の男を投げたのだから。
リリアはジークの前まで歩むと彼の頭を掴み、思いっきり壁に頭を殴りつけた。
「ぐあっ!!」
「ジーク!!!リリアさん、やめてください!!」
後ろにいたイェレナがリリアを止めると、その名を聞いたジークがリリアを見つめる。
「リリア……そうか君がリリア。ライナーが言っていたリヴァイが育て上げたもう一人の兵士長。しかし何だってこんな目に遭わなきゃならない訳?俺、君に何かした?」
リリアは歯を噛みしめると、思いっきりジークの腹部を蹴った。
「ぐはっ!!!」
「リリア、やめとけ」
リヴァイが静かに声を掛けるが、リリアは止まらない。
何度も何度もジークの腹を蹴りあげる。
するとため息をつき、リヴァイがリリアの体を引っ張った。
こうなる事は想像出来ていたが、このまま放っておいては本当に殺してしまいそうな勢いだ。
「いい加減にしとけ。殺すなって言っただろうが。何のために俺が生かして連れて帰ったと思っている」
「ぐっ……何なんだよぉ」
「アンタに家族を殺された……」
「そりゃあ……悪かったね」
軽い言い方にリリアは悔しそうにジークを睨み付ける。
するとイェレナが口を開いた。