第61章 #61 戦いの始まり
リリアとハンジは飛行船が停めてある場所へと移動し、今から乗る大きなその飛行船を下から眺めた。
こんな大きな乗り物が空を飛ぶというのがいまだに信じられない。
「でか……」
「凄いね!!」
「こんなの操縦出来るの?オニャンコポン」
後方にいたオニャンコポンにリリアが問いかけると、そうですよ、と返ってきた。
この大きな飛行船を操縦するのはオニャンコポンだ。
彼の飛行技術はかなりのものらしい。
「よし、じゃあ他のメンバーも乗せて、そろそろ出発しようか」
ハンジは他の団員を呼びに向かい、オニャンコポンは気合いを入れて先に飛行船に乗り込んだ。
リリアはしばらく飛行船を見上げていたが、大きく深呼吸し自分も飛行船に乗り込もうとした、その時だった。
「リリアちゃん」
名を呼ばれ振り向くとナイルが手を上げてこちらに近付いて来ていた。
「ナイル兄ちゃん」
「ついに出発だな。体調はどうだ?」
「今日は大丈夫!元気だよ!!色々心配かけちゃってごめんね」
いや、とナイルはリリアの頭を撫でた。
「皆、無事に戻ってくる事を祈っている」
「うん、ありがとう。また戻って来てからが大変だけどね…ナイル兄ちゃんも忙しくなるよ?」
「そうだな」
「それじゃあ行ってきます!」
リリアはナイルから離れると手を振って飛行船に乗り込んだ。
調査兵団をレベリオから回収するだけと行っても無事に帰って来られるとは限らない。
飛行船が撃ち落とされたら出撃した全員がそこで終わるだろう。
祈るようにナイルは目を閉じた。