第60章 #60 君の努力を知っている
「貴様は今、本当にリヴァイの事を愛しているか?」
「え?」
「兄を殺そうとした人間を、自分を痛めつけた人間を……お前は今、愛しているか?」
とんでもない事を聞いてくるな、とリリアは苦笑いを返した。
そう思われるのは仕方がない。
しかし自信を持って言おう。
「はい!私は今、リヴァイの事誰よりも愛していますよ」
「そうか。ならいい」
「あーー!!リリア!!見つけた!!!」
息を切らして走ってきたのはハンジだった。
しまった、とリリアがキースの後ろに隠れる。
「もう!部屋に行ったらいないから焦ったよ?!休めって言っただろ?!」
「ご、ごめんなさい。でも今日は本当に元気で…」
「まったく……ほら、帰るよ?シャーディス教官、申し訳ない、リリアが」
「いや」
キースがリリアの背中を押しハンジに預けると二人は手を繋ぎその場から去ろうと後ろを向いた。
その時、キースが声をかけた。
「ハンジ」
「はい?」
「この子は褒めて伸びるタイプだ。今までの努力をちゃんと認めてやれ」
「え?あ、はい…勿論」
教え子を褒めることが滅多にないキースからそう言われハンジは驚いたが、二人がどんな会話をしたのか何となくだが分かった気がした。