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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第60章 #60 君の努力を知っている



「ぬわっ?!」
「お前は……あの頃の調査兵全員が認めた兵士長だ。皆がお前の努力を知っていた。誇っていい」
「……はい」
「時代は変わる。気にするな、お前を認めている者はちゃんといる。何よりリヴァイがお前と恋仲になったのがいい証拠だ」

少し力強くそのまま頭をパシパシと叩かれると、リリアは頭を押さえながらキースを見上げた。

「聞いたぞ?婚約したそうだな」
「ひぇ!?教官の耳にも入ってる!!」
「当時を知る者はお前とリヴァイがそんな仲になるとは思いもしなかったろう。それだけ仲が良く見えなかった」
「今はとても仲良しです!」

リリアは立ち上がると前を見つめたまま息を吐く。

「……嫌いでしたよ。リヴァイは兄を殺そうとした人でしたから」
「スミス…」
「でも強くなるにはリヴァイに教えてもらうしかなかった。だから死に物狂いで訓練した。憎い感情殺して強くなるために努力した。………でもいつしかリヴァイが私に優しくなって、話をするようになったらそんな感情どこかに行ってしまいました」

彼に訓練をつけてもらったがそれはもう訓練というものではない程酷く、厳しい、暴力と言っていいものだった。
おそらくリヴァイもリリアの事を良く思っていなかったため、諦めさせるためにわざとそうしていたのだろう。
そんなに厳しかった彼も、今ではリリアがいなくてはまともに仕事が出来ないくらいになってしまった。


「人は変わる、最初仲が最悪だった私達が良い見本です。誰とだって話せば……仲良くなれる可能性はある。そりゃあ勿論相性とかあるから全てがそうな訳じゃないけど……エルディア人の問題だってそう……話せば…いつかは……」


いや
戦いは無くならない

一時的な休戦はあるだろう
しかしこの世から争いを無くすのは無理だ

何故なら
それが人間だから


そう簡単にはいかない



リリアは、はぁと大きくため息をつくと、再びしゃがみ込んだ。
少しだがまた頭が痛い気がする。

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